暖かく晴れた日、風が少しあるけれど、
駅とは反対の方向へ、歩いていました。
近所だけれど、用事もなく、
めったには行かない場所。
坂を下って、川にたどりつきました。
ここを曲がれば、大きな桜の木が迎えてくれる。
そう思っていたのに、遠くまで見渡せる、
ガランとした空間に、道を間違えたのかと思いました。
しばらく進むと、大きな切り株が
いくつも並んでいるのが見えました。
近寄ってみると、中が空洞になっているものも。
直径 60㎝以上はありそうです。
寿命だったのかもしれない。
台風の影響かもしれない。
春には桜を、夏には木陰を、
その大木たちから、
自然の恵みをもらっていました。
今年も、当然、そこにあると思っていたのに。
強い日差しを背中に受け、
しょんぼりと歩いてゆきます。
川を下ってゆくと、桜並木があり、
桜を見ることができました。
川では、鴨がのんびりと泳いでいます。
きっと、この風景も、
少しずつ変わってゆくのでしょう。
いつでも行ける、いつでもできる……。
そばにあるものは、特別には思えないのだけど、
後悔しないように、大切にしたいと思いました。
淡い桜の色を目にすると、穏やかなきもち。春風とのデュオ。
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本日の一杯 ☕
目の前にあることに向き合う
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川沿いの桜並木を後にして、
桜のトンネルがある道に向かいました。
そちらも、一年前とは風景が違っていました。
道の片側の桜はほとんど伐採され、
近代的なビルやマンションが建っていました。
桜の木があったら、窓に、バルコニーに枝が伸び、
太陽の光を遮ってしまうのでしょう。
桜のトンネルも、木陰のトンネルも、かなわない。
でも、それは一方的なわたしの思い。
いつも同じように感じるのだけど、
少しずつ風景は変わってゆく。
目の前にある問題に向き合い、
時代の変化に対応しながら、
楽しく暮らしてゆきたいな。
大きな夢が持てなくても。平凡でも。
きくちゆうきさんの『100日後に死ぬワニ』と、
かさなりました。