なごみカフェ 

~豊かなこころで、シンプルな暮らし~

感動という言葉を使わずに感動を伝える

「1000文字程度で、

 感動という言葉を使わずに感動を伝える」

 

これは、文章力養成講座に通っていたときの

課題の一つです。

 

学生のころの作文以来、ルールに沿って

文章を書くということがありませんでした。

 

だから、新鮮ですが難しくもありました。

 

 

さて、感動が伝わるでしょうか。

 

使う言葉や所作で人柄を判断することがあります。日常生活で、ステキな人に出会うことがたくさん。そういうときは、見ず知らずの人でも声をかけてしまいます。すると、笑顔や情報の交換ができて、こころが温かくなります。

 

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 本日の一杯

 スーパーマンがいっぱい

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ドラマティックな出来事などめったにない。きっと、そう思っている人は多いだろう。

よく利用するスーパーのレジは、混雑時は戦場のようだ。ベテランの店員でさえ険しい顔をして余裕がない。客は静かに並んでいるが苛立っているように見え、できるだけ早くレジを通過したいと願っているようだ。

私はレジに並んでいる人のカゴの中や、店員の手際の良し悪しをみて並ぶレジを決める。ところがその日は、こちらへどうぞ、と声をかけられ、開いたばかりのレジにいった。そこには、小柄でメガネをかけた高校生らしき男性の店員がいた。胸に「研修中」と書かれたバッチをつけている。しまった、と思った。

ところが、意外にも早く支払いまで済ませることができた。店員の言葉遣いや、品物・金銭の扱い方が丁寧だったので、心が温かくもなった。ふと、カゴの中に視線を落とすと、全ての品物の正面がこちらを向いていることに気が付いた。箱物はひな壇のように並び、野菜コーナーや菓子コーナーは売場の陳列棚のようだ。バナナの房の連結部分が「ここを持って下さい」とアピールしている。どこに何があるのか一目瞭然。まるで初めからセットされていたようではないか。ブラボー!

突然、店内の照明が消え、店員とカゴにスポットライトがあたり、パンパカパーンというファンファーレの後にくす玉が割れ、「お見事」と書いてある垂れ幕が降りてきてもおかしくない。完璧なレイアウトのカゴを前に心が躍った。

まるで芸術作品を受け取ったかのように、私はそのカゴをかかえて整理台にいった。カゴから買物袋に移す作業はスムーズにできた。パンをよけて缶詰を手に取ったり、買ったはずのチョコレートバーを探したりすることもなかった。以前、カゴと同じような色をしたパッケージのガムを取り忘れたことがあるが、このようなレイアウトなら安心だ。今まで、カゴの中を見ても何かを感じたことはなかった。みかけにはこだわりがないし、横になった牛乳パックを底から引っこ抜いて雪崩がおきても、カゴの中のことだけだ。仕方がない。それが普通だった。

彼はどうやって、接客の仕方や素晴らしいカゴのレイアウトを覚えたのだろう。客の立場に立って考えたのだろうか。それともセンスがよいのだろうか。理由はわからないけれど、彼の接客が私の心を動かしたのは確かだ。

この日、私は心に感度のよいアンテナがあれば、日常の些細な出来事もドラマティックになると思った。

 

 

 

購入したものにその時の印象が残るから、ステキな人から買いたいな、と思います。付加価値がある気がするのです。