一家団欒の食卓でのことです。
「山に行ったとき、道に迷って、麓まで下りてきたけど、
そこがどこだかさっぱりで、途方に暮れちゃって。
そうしたら、目の前にリムジンが停まってね、
道に迷ったんでしょう、って
最寄り駅まで送ってくれたんだよ。
ちょっと怖い感じの人たちだったけど、優しいんだ。
もうね、車の中が部屋みたいで、ワクワクしたよ!」
わたしの頭の中では、車の中が部屋みたい、が
リフレインしていました。
わたしもリムジンに乗ってみたい!
そう思ったのだけど、接点などまったくありません。
ところが、思いが届いたのか、
しばらくして、リムジンの方からやってきたのです。
8mはありそうな、光り輝くリムジンが、
家のすぐそばに停まっていました。
わたしは、目にしたとたん、そちらへ走りだしました。
おそらく満面の笑みで。
車の中が部屋みたい。
必至で中を覗くのだけど、スモークガラスで
中の様子がまったくわかりません。
夢中になっていると、
だれかがトントンと肩をたたきます。
もしかして、お誘い?
これまた、満面の笑みで振り返りました。
すると、そこには、見知らぬ年配のご婦人が。
「あなた、やめなさいよ」
毅然とした態度に圧倒されました。
今、思うと、他人の車を覗くなど、
失礼極まりないことでした。
でも、いつか、また、リムジンにお目にかかれたら、と
こころのどこかで思っています。
願ってみよう、思ってみよう。祈りともいえるその気持ち。だれかに話したら笑われちゃうようなことだって、頭の中は自由だもの。その思いがワクワクスイッチを押すよ。そうしたら、日常の些細なことだって、すごく楽しく思えるかもしれない。幸運がやってくるかもしれない!
*********************
本日の一杯 ☕
純粋な強い思いはかなう
*********************
「思い」は不思議です。
お金持ちになりたい、とか
だれか持っていないかな、とかではなく、
ただ、真っすぐな思いが、
リムジンを引き寄せたのかもしれません。
乗ることはかなわなかったので、
どこか間違った思いだったのかもしれません。
それでも、思いが少しでもカタチになると信じて、
とびきり楽しいことを想像してみませんか。